タカアシガニMacrocheria kaempferi幼生の完全飼育
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
タカアシガニMacrocheira kaempferiの卵を培養して,ゾエア1・2期,メガロッパを経過し稚ガニまでの完全飼育に成功した。1990年3月19日に駿河湾戸田村沖で漁獲したタカアシガニの抱卵雌1個体を静岡県下田市にある日本大学農獣医学部下田臨海実験所の水槽で飼育し,1990年5月27日にこのカニの腹肢から卵を採取し,腰高シャレー(90×72mm)に400mlの海水を入れ水温15℃で培養した。ゾエア1期は8月15日から18日の間に孵化した。ゾエア2期には8月25日から9月2日の間に,また,最初のメガロッパは9月7日にできた。メガロッパが脱皮をして10月5日に最初の稚ガニができたが,メガロッパの期間は28日であった。タカアシガニでは,今迄に稚ガニを得ることができなかったので,この稚ガニが最初の記録となる。その後,8個体の稚ガニができたので合計9匹の稚ガニを得た。幼生の飼育条件は,アルテミアのノープリウスを餌料として与えた。割合は飼育海水1ml中,3,6,10個体とした区からそれぞれ2,2,5匹の稚ガニが得られた。また,飼育用シャーレーの底には砂の他に貝殻を砕いて0.5mm程度の厚さに敷いた。海水の塩分量は3.2-3.4%,水温は常に15℃を保ち毎日換水した。稚ガニは,甲幅1.9〜2mm,甲長3〜3,3mmでやや丸形をしており,第2歩脚の差渡しの長さは,甲幅の約5倍程度である。体色は薄い茶褐色,脚に赤褐色の小さな斑点がある。体表全体に剛毛が生えており,餌やアルテミアの死殻などを付けている。額棘は成体のカニと同様に左右の額棘と下に向く一つの額棘とで三角を呈して,タカアシガニの特徴を表わしている。
- 1990-12-31
著者
関連論文
- タカアシガニMacrocheria kaempferi幼生の完全飼育
- 東京湾沿岸域に生息するマハゼおよびマガキの細菌相
- オキナエビNephropsis stewarti WOOD-MASON(DECAPODA, NEPHROPIDAE)の水槽内での生態
- オーストンガニCyrtomaia owstoni TERAZAKI(Decapoda, Majidae)初期幼生の形態
- ショウグンエビEnoplometopus occidentalis RANDALL(十脚目,アナエビ科)の幼生について
- 輪毛虫類の出現と水質
- タカアシガニの生物学的並びに水産増殖学的研究-3-額棘・指節および脚の再生
- 北海道斜里町沿岸・潮間帯の概要
- 小田原先生と西伊豆戸田村 : 小田原先生を偲んで(小田原利光先生追悼文)
- 海水馴化したスジエビPalaemon paucidens消化管内の好気性細菌相
- A New Monorchiid Trematode of the Genus Lasiotocus from Brackish Water Goby, Tridentiger obscurus (Temmink and Schlegel) in Japan
- タカアシガニの研究史 : タカアシガニ研究に関する文献目録
- タスマニアキングクラブついて
- 駿河湾と底引網漁業の漁獲物 : 戸田沖の大型甲殻類
- Effect of the incubation temperature on the isolation of aerobic heterotrophic bacteria from a river.
- 沿岸甲殻類血リンパの自然細菌凝集活性〔英文〕
- キンギョの腸内細菌相に及ぼす餌料の影響〔英文〕
- くさや汁から分離された偏性嫌気性細菌〔英文〕
- 各成長段階におけるウシガエルの腸内細菌相〔英文〕
- コイ,ソウギョおよびティラピアの腸内細菌相〔英文〕
- 淡水域に生息する好気性および通性嫌気性細菌の分離のための培地〔英文〕
- 沿岸魚類の腸内細菌相〔英文〕
- 淡水魚類の腸内容物および糞便中の細菌相の比較〔英文〕
- 沿岸性フグ科魚類の腸内細菌相〔英文〕
- 沿岸二枚貝の細菌相
- コイ腸管内における細菌の分布〔英文〕
- ペレットの分解に伴うキンギョ飼育水中の細菌相の変化〔英文〕
- キンギョ腸内細菌に及ぼすオキシテトラサイクリン経口投与の影響〔英文〕
- キンギョの糞便内細菌相の変動〔英文〕
- 沿岸甲殻類の消化管内細菌相〔英文〕
- 河川における淡水魚類の消化管内菌相〔英文〕