動・植物性タンパク質食餌の差異が長期の走トレーニング後におけるラット骨格筋に及ぼす影響 : 筋タンパク量と等尺性筋張力による検討

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本研究では, 異なるタンパク質食餌(動・植物性)が長期間の走トレーニングを実施させたラットにおける骨格筋のタンパク量や等尺性筋張力にどのような影響を及ぼすかについて検討することを目的とした.ラットは無負荷2群(AN群, VN群)と運動負荷2群(AE群, VE群)の計4群に分類した.運動負荷は, トレッドミルを用いた速度35m/minでの30分間連続走行であり, 頻度は週5回であった.食餌タンパク質の含量については, 動物性タンパク質食餌がミルクカゼイン25.5%, 植物性タンパク質食餌は大豆タンパク質25.5%であった.実験飼育の終了後, 各群のヒラメ筋と長指伸筋の筋重量, 筋タンパク量, 筋線維タイプの比率, 筋線維径および筋張力をそれぞれ測定した.得られた主な結果は以下の通りである.1. ヒラメ筋と長指伸筋の相対的重量において, 無負荷群間と運動負荷群間では有意な差は認められなかったが, 無負荷群と運動負荷群においてはいずれも運動負荷群が有意に高い値を示した(p<0.01).2. 筋線維径では, ヒラメ筋のタイプI線維径においてVE群とVN群では統計的に有意な差は認められなかったが, AE群はAN群に比べて有意に高い値を示した(p<0.05).タイプII線維径では, 無負荷群間では有意な差はみられないものの, 運動負荷群間ではAE群がVE群に比べ有意に高い値を示した(p<0.05).さらに, 無負荷群と運動負荷群を比較すると, VE群とVN群では統計的に有意な差は認められなかったが, AE群はAN群に比べて有意に高い値を示した(p<0.01).長指伸筋における筋線維径においてもタイプI線維径とタイプII線維径ともにヒラメ筋と同様な結果が得られた.3. 筋タンパク量は, ヒラメ筋において無負荷群間では有意な差はみられないものの, 運動負荷群間ではAE群がVE群に比べ有意に高い値を示した(p<0.01).無負荷群と運動負荷群を比較すると, AE群とAN群との間では有意な差は見られなかったのに対して, VE群はVN群に比べて有意に低い値を示した(p<0.05).長指伸筋では無負荷群間と運動負荷群間のいずれも有意な差は認められなかったが, 無負荷群と運動負荷群を比較すると, VE群とVN群では有意な差は認められなかったものの, AE群はAN群に比べて有意に高い値を示した(p<0.05).4. 等尺性筋収縮力についてみると, ヒラメ筋ではAE群がVE群に比べ有意に高い値を示した(p<0.05).また, AE群とAN群との間では差がないのに対して, VE群はVN群に比べ有意に低い値を示した(p<0.05).長指伸筋では無負荷群間において差がなかったのに対し, 運動負荷群間ではAE群がVE群に比べて有意な高い値を示した(p<0.05).また, AE群とAN群では殆ど差がないのに対して, VE群はVN群に比べて低い傾向を示した.以上, 植物性タンパク質食餌に比べ動物性タンパク質食餌は高強度の運動負荷を実施したラットの骨格筋内における分解の亢進を抑制させ, 合成能力の保持により貢献し, 筋肥大や筋タンパク量および筋張力に好影響をもたらす可能性が高いことが示唆された.
2005-02-25

動・植物性タンパク質食餌の差異が長期の走トレーニング後におけるラット骨格筋に及ぼす影響 : 筋タンパク量と等尺性筋張力による検討

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