近世中期出雲方言の大きさ語彙
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概要
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現代出雲方言では,物の大きさを表す「大きさ語彙」の体系が共通語や西日本方言の大部分と異なり,特にホソイ類が〈小さい〉の意味を表すという特色がある。近世中期に作成された出雲国郡別絵図註書帳の大きさ語彙を調査すると,相対的な〈大〉は「ふとし・おおきなり」で,同じく〈小〉は「ちいさし・ほそし・こまかなり」で表されている。「ほそし」が〈小〉の意を表すことは,大小二種の茸を「大キ成分」と「細き分」とで対比的に示す例に端的に示される。「こまかなり」はその使用例から,〈小〉の下位の意味領域を担う語と考えられる。『日本言語地図』の出雲方言と比べると,〈大〉フトイ類の消滅とオオキナ類の進出があったこと,〈小〉ホソイ類の使用の連続的であることが判明する。言語地図を適切に解釈するために,この時期の各地域の文献の調査が必要で,中央語文献における「ほそし」の語史を明らかにする必要もある。
- 2001-11-30
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