エチレンオキサイドガス滅菌装置の作業環境測定の検証

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医療施設において多用されているエチレンオキサイドガス(以下,EOG)滅菌法は,加熱温度(40〜60℃)で滅菌処理を行うため熱に弱い手術機器などに多く使用されている.しかしながら,EOGは可燃性ガスであるばかりでなく,ガス吸入により低濃度の場合は悪心・吐き気,高濃度の場合は,目・皮膚・粘膜を刺激し,また,発がん性がある.これらのことよりEOGは平成13年4月に「特定化学物質等」に加えられ労働安全衛生法によりその取り扱いに対して規制されることになった.それにより,EOG滅菌装置を取り扱う周辺の環境安全を維持するため,半年ごとに環境測定を行うことが義務づけられた.当院では,エアレーション機能があるEOG滅菌装置を手術部と材料部で使用しているが,滅菌される対象物は異なっており設置されている作業施設の規模,EOG滅菌装置に充填されるガス充填容量にも違いがある.今回は,これらの滅菌装置を対象に滅菌物取り出し直後に滅菌装置周辺の残留EOG濃度の測定を行うとともに,ガスの拡散状態を調べるため気流の流速と方向性そして空調設備の排風量を調査した.残留EOGガス濃度は,手術部では滅菌装置前が0.12ppmで装置周囲が0.10ppmとなり,材料部ではそれぞれ0.15ppm,0.12ppmいう測定結果がえられ,作業環境評価基準の1ppmを下回る結果となり安全性が確認された.また,気流の状態は滅菌装置扉前には天井にフードが設置されており,中央には排風量33m^3/minで引き込む排気口がある.気流の流れは,EOG滅菌装置に向う状態で流れていることがわかりEOGの拡散を防いでいることが判明した.作業環境測定の判定は,残留EOG濃度のほか発生源からの気流の風速と風向を考慮して判断すべきと考えられる.
日本医療機器学会の論文
2003-04-01

エチレンオキサイドガス滅菌装置の作業環境測定の検証

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