曲管内の流れと流れの安定さに就て
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概要
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曲管内に層流を呈する粘流體の速度分布を、流體力學の運動方程式から直接に解出することは殆ど不可能と考へられるので、間接的の解法としてそれを環状水路の集合より成るものと考へ、且つそれにダイメンションの法則を差し加へて近似的ではあるが、曲管内の層流の速度分布を表す公式を求むることが出来た。これで見ると管徑と管の曲率半徑とによつて異なるけれども、同じ状態にある直管と曲管とに於て、曲管に働く流體摩擦は直管に働くそれよりも常に大であり、しかも臨界レイノルヅ數は直管に於けるよりも小である。之れ曲管内の流れは直管内のそれよりも不安定で容易に混流を生ずることに外ならぬ。著者は在來のレイノルヅ數に對して新に管徑と管の曲率半徑とを取り入れた數を作り、この數を用ゐることにすると、直管と曲管との差別なしに有らゆる圓管内の流れが凡て同一に取り扱ひ得ることになる。非圧縮流體が幅の一定なる環状水路を流れる場合に、二次元の層流としてその速度分布を流體力學の運動方程式から直接に解出することは相當に困難なことであるから、況んや流れが固體の周壁を以て圍まれたる三次元の場合、例へば曲管内を流れる場合の如きに至りては、その解法たるや更に一層困難であつて、殆ど不可能ではないかとさへ考へられる。よつて止むなく以下述ぶるが如き順序によつて、間接的方法の略算を用ゐて、曲管内の速度分布の略式を導くことにしたのである。
- 1932-11-01
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