高温度に於ける鋼の匍匐に就いて : 第1報
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概要
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本文は低炭素鋼につき荷重を一定にし温度を変へて、匍匐変形の過程を究め、併せて内力・温度及び壽命間の關係を研究したものである。その方法は引張内力を加へて種々の温度に於ける時間と伸びとを測定し、外的現象を見ると共に、変形過程に於ける組織写真をとり、内部組織の変化を調べる。その結果によれば、匍匐変形は一般に伸びの多少より言つて3階梯よりなるが、変形率より見れば、漸次減少する週期と増加する週期との2つより成る。内部組織より言へば、第1週期では結晶粒の相對変位が主であり、第2週期では結晶粒夫自身の変形が主である。以上の過程を論ずれば、変形の初めは結晶粒間の滑りが起り、硬化によつて漸次減じて結晶粒内に滑り線を生ずるが、ある状態に達すれば、之等の線に沿ふて全体が滑るものである。この最後の現象が流動である。之によつて、匍匐変形は単に流動ではなくて、滑動と流動との2過程をとるものである。上述の2週期の境点及び週期比は一定の内力及び温度に對して特定されるもので、温度の変化と一定の関係を保つ。次ぎに匍匐現象が起るには一定の範囲あり、その上限は匍匐率の双曲線的關係により決定し、下限は週期比の指数曲線的關係より推定する。内力一定とすれば温度と壽命との関係は略双曲線的にして、ある温度以下では壽命が甚だしく延長される。従つてこの双曲線の漸近線に相當する温度も匍匐下限に相當するものと考へられる。之等の匍匐範囲・匍匐限界等ば他方より見て温度と内力との関係を與へるものである。茲に於て以上の諸結果を綜合し、材料の変形及び破壊には、内力と温度との組合せによりて種々の圏界あることを証し、之を決定する。更らに内力と壽命との関係を考察し、且つ諸種の關係に對する實験式を決定する。
- 一般社団法人日本機械学会の論文
- 1930-01-18
著者
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