乳児アトピー性皮膚炎患者における末梢血好酸球比率とダニアレルゲン特異的リンパ球増殖反応との相関

概要

論文の詳細を見る
好酸球はアレルギー性炎症の主細胞の一つであり, アトピー患者では末梢血好酸球が増加している。乳児アトピー性皮膚炎患者を対象として末梢血好酸球比率と種々のアレルギー関連因子との相関を調べたところ, ダニ特異的リンパ球増殖反応 (S.I.F.: stimulation index measured by flow cytometry) との間に最も高度な正相関が認められた (r=0.88, p<0.001)。血清IgE値 (r=0.56, p<0.05), 卵白IgE-RAST値 (r=0.64, p<0.01) および卵白S.I.F.値 (r=0.59, p<0.02) との間にも有意な正相関が認められたが, ダニIgE-RAST値およびカンジダS.I.F.値とは相関しなかった。これに対し, 年長アトピー性皮膚炎患者では末梢血好酸球比率は血清IgE値 (r=0.73, p<0.001) およびダニIgE-RAST値 (r=0.71, p<0.001) と最も強く正相関した。ダニS.I.F.値との間にも有意な正相関がみられたが (r=0.53, p<0.02), 卵白IgE-RAST値, 卵白S.I.F.値およびカンジダS.I.F.値とは相関が認められなかった。これらの結果から, アトピー性皮膚炎患者の末梢血好酸球増加に関して, 年長児ではダニ特異的IgE抗体が主要な役割を果たしているのに対し, 乳児ではダニ特異的ヘルパーTリンパ球が主要な役割を果たしていることが示唆される。
日本アレルギー学会の論文
1997-06-30