NCマウスの免疫学的研究 : 加令に伴い発生する自己免疫現象の解析
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概要
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近藤が純系化した日本在来の NC マウスは, 加令に伴い皮膚病変やリンパ節, 脾臓からのリンパ球の減少, さらに貧血や糸球体腎炎をおこしてくることから, 後天性免疫異常が推測され, 液性免疫, 細胞性免疫の検索を行った.(1)抗核抗体, クームス抗体は 5-6 ヵ月令以後高頻度に出現し, また腎糸球体への免疫グロブリンや補体の沈着が老令期のものでみられた.(2)ヒツジ赤血球や DNP-抗原に対する抗体産生能は加令に伴い明らかな低下を認めたが, 細菌由来の胸腺非依存性抗原である LPS に対する抗体産生能は加令に伴い上昇していた.(3)リンパ節, 脾臓の θC_3H 抗原陽性細胞数は加令に伴い減少していた. in vitoro での脾細胞の PHA に対する反応性は対照マウスに比べ低く, in vivo でのピクリールクロライドに対する遅延型アレルギー反応と同様加令に伴い低下していた.これらのことから, NC マウスは主としてT細胞の機能低下が示唆され, その原因に遺伝的, 外的要因が少なからず関与するものと考える.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1977-01-30