室内塵中のダニ(Dermatophagoides farinae)抗原の免疫学的研究 : 1. 動物実験におけるダニ抽出画分のHomologous PCA, Heterologous PCA, Passive Hemagglutination TestおよびDouble Diffusion Testを用いての抗原活性について
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概要
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室内塵中の数種のダニが, 室内塵アレルギー疾患において, 室内塵と高い相関性があることが知られている.われわれはこのダニの一種D. farinaeの抗原性を追求するため, ウサギを用いてこのダニをFreund's complete adjuvantとともに足蹠に免疫し, 14日目に得た抗血清を用い, ダニ虫体抽出画分の抗原性の検索をした.ダニ虫体抽出画分は, エーテル脱脂後の虫体をPBS(1:20)で抽出したエキスを画分[A]とし, その残渣を90%熱フェノールで抽出し, 水で透析した水溶性成分を画分[C]とした.また, フェノール抽出残渣を透析し, 熱水抽出して画分[D]を得た.一方, 糖タンパクを得る目的で虫体をエチレングリコールで抽出して得たものを画分[B]とした.またタンパク質を得る目的で, TAPにより得た成分を画分[E]および[E_1]とした.そしておのおのの画分についてhomologous PCA (reagin様抗体を含む), heterologous PCA, passive hemagglutination test, double diffusion testを試みた.その結果, 1. 画分[A]ではpassive hemagglutination test, heterologous PCA(4時間), double diffusion testならびにhomologous PCA(72時間)において, 活性を示す抗原性に富む成分を含んでいることがわかった.2. 画分[B]はいずれの抗体とも反応する抗原成分を含んでいるが, 特にheterologous PCA抗体と反応する抗原成分に富む.3. 画分[C]はpassive hemagglutination test, heterologous PCAにあずかる抗原成分を含むが, homologous PCA(72時間)における抗原活性は認められなかった.4. 画分[D]ではpassive hemagglutination testに対する抗原成分も含んでいるが, 特にheterologous PCAにあずかる抗原成分を含むことがわかった.しかし, homologous PCA(72時間)における抗原活性は認められなかった.5. 画分[E_1]はdouble diffusion testにおいて弱い1本の沈降線形成をしたが, 画分[E]においては沈降線の形成は認められなかった.ただ, passive hemagglutination test, heterologous PCA, homologous PCAは行っていない.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1974-01-30
著者
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勝畑 有恒
鳥居薬品研究所
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勝畑 有恒
鳥居薬品株式会社研究所
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河合 慎太郎
鳥居薬品研究所
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池田 登志子
鳥居薬品株式会社研究部
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佐藤 重男
Research Laboratories Torii And Co. Ltd.
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河合 慎太郎
鳥居薬品株式会社研究部
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佐藤 重男
鳥居薬品株式会社研究部
-
山口 一孝
鳥居薬品株式会社研究部
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山口 一孝
Research Laboratories, Torii and Co., Ltd.
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山口 一孝
Research Laboratories Torii And Co. Ltd.
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