気管支喘息の研究 : 第8報いわゆる米杉喘息の症例について

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米杉喘息は, かつて関東大震災後の復興に使われた米杉材により, 建具職人の間にみられたことが関により報告されているが, その後米杉の使用が少なくなるとともに忘れられていた.しかるに, 最近の建築ブームにより米杉材の輸入が急増するにつれて, 各地で再び米杉喘息の発生をみるようになり注目されている.著者らも最近米杉喘息と考えられる5例を経験し, 若干のアレルギー学的検索を試みたのでその成績を報告し考察を加えた.5例中4例は小さな作業場で建具や蛍光灯の笠を作り, 1例は製材工場に勤務する木工業者であつた.種々の抽出法により作製された米杉エキスによる皮内反応では圧出液が最も強い反応を示した.しかしこれとても閾値は 10^<-1>程度で, これまでに著者らの報告した諸種職業性喘息の場合に比較すれば最も低いものであつた.PK 反応はこれを試みた3例中1例でかろうじて陽性を示し, この患者に実施した吸入誘発試験は陽性で, 肺機能検査成績からも臨床症状からも即時型発作を認めた.さらに fibrebronchoscope 直視下に右下葉枝に選択的に米杉圧出液を注入した後, 同一部位に気管支造影を行なつて気管支筋の著明な攣縮像を確認し, Coombs らのいわゆるI型アレギルーの存在が確認された.しかし発症時間をみると, 米杉への暴露時あるいはその直後即時性に発作を起こすものもあるが, 数時間後ないし翌日発症するもの, あるいは2相性発症を示すものもあり, III型あるいはIV型アレルギーの関与の可能性も考えられた.
日本アレルギー学会の論文
1973-05-30

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