実験的筋症に関する研究 : 第1篇 抗筋抗体の特異性
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概要
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重症筋無力症の自己免疫学説が現われてすでにlO年を経過した.胸腺異常と抗筋抗体に関して重症筋無力症の病因的因果関係を求めて多くの研究がなされてきたが, 今日に至るもなお決定的結論をみるに至つていない.本論文では抗筋抗体の免疫学的特異性に関して研究した結果を報告する.蛍光抗体法によつて抗筋抗体を検出するにあたつて, ヒト筋肉ならびにラット骨格筋を材料として用いた.筋肉をエチルアルコールで固定後, 炭酸-重炭酸緩衝液(pH 9.1)および水(pH 6.5)のそれぞれにfluorescein isothiocyanate(FITC)を溶解した液で直接法または間接法にて染色した.いずれの場合も筋横紋に結合した蛍光陽性像を得た.さらに抗筋抗体の局在に関して検討すると, 筋無力症患者血清と蛍光標識抗ヒトγ-globulin血清およびFITC-waterのみで螢光染色した場合には, A-band without H-zoneが特異的に蛍光陽性となりその他の場合はI-bandが陽性になるとこが判明した.筋無力症患者血清と健康ヒト血清からgGIのFabとFcを分画した後に, それぞれの抗筋抗体活性を調べたところ筋無力症患者血清の分画にのみA-band without H-zoneと特異的反応する活性を認めた.しかしながら, このFab分画が筋運動神経終板と結合して障害をおよぼすという確証はついに得られなかつた.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1971-12-30
著者
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