腸内細菌による慢性関節リウマチの実験的生成
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概要
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慢性関節リウマチ(RA)に類似した関節炎を実験的に生成し, ヒトRAの病因における感染と免疫の立場からそのpathogenesisを究明しようと試みた.方法は腸内細菌共通抗原を豊富に含む大腸菌0:14株を加熱死菌(内毒素成分)とし, Freundのincomplete adjuvantに混じて長期間ウサギを感作した.その結果, 10ヵ月前後で多発性で無菌性の関節炎が発症し, 病理形態学的にRAに良く似た所見を示した.血清中のリウマチ因子様物質(RFLS)はリウマチ因子(RF)の条件を満足させた.また, 滑液膜組織に対する抗体が検出され, 自己抗体と考えられた.螢光抗体法による病変関節組織の検討ではRFLSが形質細胞や単核細胞内に時に, 遊離して粒子状に滑液膜組織に観察され, IgMも同様に認められた.IgGは主として滑液膜層に存在し, 補体成分とimmune complexを形成した.また, IgGとRFLSの結合も認められた.なお, 感作抗原も少量ながら滑液膜組織に認められた.以上の成績から, 新しい動物モデルと考えられ, 関節炎の発症に大腸菌内毒素性物質で変化した滑液膜組織抗原による自己免疫機序が推定された.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1971-09-30
著者
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