β-Adrenergic Blockade説 : 気管支喘息の自律神経異常について
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概要
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Catecholamineのもつβ-adrenergic効果は, 気管支拡張, glycogenolysis, 血中好酸球減少血管拡張などを含む.気道の過敏性は喘息の特徴であるが, β-adrenergic blockade説(Szentivanyi)は「喘息では気道のβ-adrenergic receptorが機能低下ないし減少しており, β-adrenergic効果による気道の開存を保つhomeostasisが失われている.そのため, 気道狭窄を起す刺激が加わると, その作用は過度に現われる」と説明する.また, 負荷されたβ-adrenergic刺激剤(adrenaline, isoproterenol)に対する反応も多く低下しており, 気管支ばかりでなく他の器官でもβ-adrenergic receptorの障害があることを示唆している.抗体産生増加, 血中好酸球増多, theophyllineおよびcorticosteroidの気管支拡張効果, 感染による症状悪化などの喘息の特徴も, β-adrenergic blockadeで部分的に説明することができる.現在までの報告の結果は, この仮説を実証するにも, また, 否定するにも充分ではないが, 喘息病因研究のための仮説として, β-adrenergic blokade説は興味あるものと考えられる.
- 一般社団法人日本アレルギー学会の論文
- 1971-02-28
著者
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