精進湖におけるコケムシ類
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概要
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1973年夏以来,精進湖に巨大群体塊をつくるオオマリコケムシPectinatella magnifica(LEIDY)が毎年出現している。このコケムシの生活史調査に関連して, 1976年6月29日に湖の水面に漂う越冬したスタトブラストの集塊(主としてオオマリコケムシのもの,約3,000個)を調べたところ,その中にアユミコケムシCristatella mucedo CUVIER (5個),ヒメテンコケムシophopodella carteri(HYATT)(2個),それにハネコケムシPlimatella repens (L.),ヤハズハネコケムシPumatclla emarginata ALLMAN,ヒナコケムシStephanella hina OKA (何れも小形だが,多数)のスタトブラストを見つけることができた。その後(同年9月16日),この湖でヒメテンコケムシの群体を多数発見した。しかも採集した群体を研究室で飼育していたとこへそれらの群体の体腔内にBtuddenbrockia plumatellae SCHRODERが多数寄生していることを知った。この動物は,紬長く管状となっていることから,和名として"イトクダムシ"と名付けたい。アユミコケムシの生きた群体は,この湖では,まだ見つけられていないが,この度,スタトブラストが見つかったことは,現在でも,この湖にその群体が生息していることを示唆している。オオマリコケムシの群体塊は1972年秋に河口湖に突如出現して以来, 1973年夏には精進湖,続いて1974年の夏には柴山潟,そして1976年秋には印旛沼に出現した。1977半夏には柴山潟近くの木場潟にも多数現われた。このようにその分布は着実に拡散されつつある。国内におけるこのコケムシの分布の拡大にはヘラブナを求める釣人たちの移動が大いに関係しているようである。(第12回動物分類学会大会にて講演)
- 日本動物分類学会の論文
- 1978-12-15
著者
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