ヒトデ類数種の"胃牽引筋"について
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概要
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ヒトデ類には胃と脊椎状隆起を結ぶ三角形の膜状構造があり,"胃牽引筋"(retractor musecle)とよばれる。本研究ではスナイトマキCtenodiscus crispatus,ヒラモミジガイAstropecten latespinosus, Ctenopleuraの一種,スナヒトデLuidia quinaria, イトマキヒトデAsterina pectinifera,ニッポンヒトデDistolasteriasが nipon,ヒトデAsterias amurensisの7種のヒトデの"胃牽引筋"を形態学的にしらべ,その機能について考察した。同種個体のこの構造には,一般にその底辺部分の長さの違いを除いて形態的に差異はほどんどない。しかし,この構造は種により多少異なり,この差は三角形構造の縁とい部分と胃壁との連結様式に顕著であった(Fig. 1)。組織学的にこの構造の中軸部分は結合組織で構成され,そのまわりに筋肉が分布していた(Figs.2〜10)。一般に筋肉よりも紹介組織が多く認められた。採餌のため胃を□の外に反転させる種(ニッポンヒトデ,ヒトデ,イトマキヒトデ)では反転させない種(ヒラモミジガイ, Ctenopleura sp.)よりも筋肉のしめる割合部大きく,筋肉の三角形構造の縁どり部分への局在化が顕著であった。従って,ニッボンヒトデ,ヒトデ,イトマキヒトデの"胃牽引筋"はその胃の外反に関係があるように思われる。 しかし,結合組織が量的に筋肉より多いので,この構造が一般に言われてきたように"筋"とはいい難く,また,その機能が外反した冒の牽引のみにあるかどうか疑問である。(第10回勣物分類学会大会にて講演)
- 1974-12-14
著者
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