Ceratoplax villosa ZEHNTNERと近縁種の分類学的位置
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概要
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エンコウガニ科のCeratoplax ZEHNTNERという種は1894年にアンボイナから報告されて以後記録されていないが,九州大学農学部動物学教室に原記載によく一致する石垣島および沖縄産の標本が保存されている。C.villosaの原記載には雄の生殖孔の位置は記されていないが,披検標本では第4歩脚の底面に開口している。Ceratoplax属を含むRhizopinaeでは雄の生殖孔は胸甲に開口しているため,本種はCeratoplax属のみならず,Rhizoninaeにも含めることはできない。そのため本論文中で新種Zehntneriaを設定してCarcinoplacinaeに移された。甲,鉗脚,歩脚とも短い軟毛でおおわれれ,甲の前側縁には三つの小さな切れ込みがある。鉗脚は雌雄とも著しく大きさが異なり,雄の大鉗脚の掌部外面の下半部には毛も顆粒もない。雄の第1腹肢はオウギガニ科ケブカガニ亜科に見られる型である。1969年に天草から報告されたLitocheira amakusae TAKEDA et MIYAKEも本種と同属と考えられる。この種では軟毛が甲の前縁,前側縁に限られるのが特徴的である。またパラオ産の標本の中に天草産の種によく似たものが見い出されたが,歩脚が著しく長いほか若干の相違点から別種としてZehntneria miyakei sp. nov.と名づけられた。
著者
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