ガラス表面におけるマンガン化合物皮膜の生成
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
水中のMn2+によるガラス容器の着色汚染とかっ色フレークの生成過程について調べた. pH値が7.0から9.4の範囲の30ppm Mn2+水溶液をシリカガラス製フラスコ内で加熱し, 溶液中のMn2+の濃度変化とフラスコの着色度を測定した. Mn2+水溶液からの固相の析出速度はpH値が増し温度が上昇するにつれて増大したが, シリカガラスの着色度は固相の析出量とは比例しなかった. 析出速度が小さい間は固相の析出はガラス表面で生じかっ色の皮膜が形成されるが, 析出速度の増大に伴って固相の析出は溶液中で生じるようになり, 生成物はガラスの着色に寄与しなくなる. pH 7.0の溶液では固相の析出が全く起こらなかった.シリカガラスの表面に形成された皮膜は, X線回折の結果からMn3O4(=MnO・Mn2O3) と1/2 (Mn2O3・H2O) からなることが分った. この皮膜とシリカガラスとの密着性はかなり大きかった.本実験の結果から, 魔法びん中に生成するかっ色フレークは, 一般に, ガラス表面に形成されたMn化合物とケイ酸マグネシウム水和物からなる複合皮膜のはく離によるものと考えられる.
- 社団法人日本セラミックス協会の論文
- 1979-03-01
著者
関連論文
- SiO_2-Fe_2O_3-K_2O系ガラスから生成したFe-leucite結晶の転移温度
- SiO_2-Fe_2O_3-K_2O系ガラスの高膨張性とFe-leucite生成との関係
- SiO_2-Al_2O_3-K_2O-Na_2O系ガラスにおける白榴石の生成と熱膨張
- 6.銅赤ガラスの発色について, 第1報 : ガラス組成と発色との関係(研究発表講演要旨)
- 魔法びんの保温性能とその試験方法に関する考察
- ソーダ・石灰・ケイ酸ガラスびん内のアルコール溶液における固相の生成
- ガラス表面におけるマンガン化合物皮膜の生成
- 脱アルカリ処理されたソーダ・石灰・珪酸ガラス壜の化学的耐久性
- 魔法壜におけるフレークの生成
- ガラス表面における珪酸マグネシウム水和物皮膜の生成