ハロゲン化物イオンを含むアルカリホウ酸塩ガラスに生ずるV_k中心の吸収スペクトル
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概要
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ハロゲン化物イオンを含むアルカリホウ酸塩ガラスにX線を照射した際形成される各種Vk中心 (X2-中心, X=F, Cl, Br, I) の吸収スペクトルを測定した. K2O-B2O3-KCl系ガラスではCl2-中心の形成量はK2Oの濃度が20mol%を超える塩基性側では急激に低下した. この結果は, Na2O-B2O3-NaCl系ガラスで見られた以前の結果と一致し, ホウ酸塩ガラス特有の構造変化と対応していると判断された. 一方Na2O-B2O3-NaX (X=F, Br, I) 系ガラスではF2-, Br2-中心の生成量もCl2-と同様酸性側ガラスで大きいことが判明したが, I2-中心の形成量の組成に対する顕著な依存性は見られなかった. このことは分極率の大きいヨウ化物イオンの酸化物ガラスでの溶存状態が他のイオンとは異なるためと解釈された. Vk中心による吸収スペクトルは各種ハロゲン化物結晶で観測されるよりも高エネルギー側に現れた. ガラス中でのCl-Cl伸縮振動に基づくラマンシフトの結果と併わせ, ガラス中ではVk中心は結晶中よりも若干安定に存在することが結論された. 一般にハロゲン化物イオンはVk中心を形成する他に母ガラスの欠陥中心を解消する捕集剤としての役割を持つことも認められた.
- 1985-01-01
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