バイオエシックスにおける「ナラティヴ」の課題と可能性 : 方法論・実践・臨床に於ける意義
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概要
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バイオエシックスに於けるナラティヴについて、本稿では、それを狭義の「ナラティヴ・エシックス(物語倫理)」に限定するのではなく、むしろ社会構築主義的なナラティヴの重視として把握し、その方法論的・実践的意義を考察する。「具体的な葛藤に対し具体的な解決を与える」という点をバイオエシックス(広くは応用倫理学)の特質と考えるなら、ナラティヴ・アプローチはバイオエシックスの「方法論」としては極めて限定的な意味しか有しない。というのも、医療現場を、様々なナラティヴによって構築されたものとして把握することは、理論的にも実践的にも重要な意味を持っているが、それだけで具体的な倫理的決定が導き出されるわけではないからである。しかし、臨床レベルでは、ナラティヴの重視(患者の訴えを、その文脈をも含めて、傾聴すること)は大きな実践的意味を持っている。ナラティヴに対する関心は、バイオエシックスの方法論という狭い範囲での主題というよりも、医療現場の改善という具体的な要請と結びつけて考察されるべきである。
- 2001-09-17
著者
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