癌性腹水生成と線溶系の関与に関する基礎的研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
癌性腹水生成における線溶系の関与を明らかにする為に以下の実験を行つた。マウス乳癌由来可移植型MM2腹水癌(MM_2 ascites tumor、MAT) 1×106個をマウス腹腔内に移植し、移植24時間後より次の線溶阻止剤を1日1回、12日間、腹腔内に投与した。(1)生理食塩水、(2)t-AMCHA、(3)gabexate、(4)heparin+aprotinin、移植後、8、10、12日目に各群から腹水を採取し、腹水量、浮遊癌細胞量、FDP、wholeplasmin、plasminogen+activatorを測定し、以下の結果を得た。(1)MM_2腹水癌腹水中の線溶活性は、腫瘍の増殖、腹水の貯留と共に上昇した。(2)線溶阻止剤の投与によつて、腹水中のFDP、whole plasmin、PAは低下し、、それと共に腹水の有意な減少が認められた。(3)線溶阻止剤の投与によつて、腫瘍細胞は腹腔内で凝集固形化する傾向が認められた。(4)線溶阻止剤が直接腫瘍増殖を抑制したか否かは不明であつた。(5)線溶阻止剤の腹腔内投与によつて腹水中の線溶活性が低下し、それとともに、腹水産生抑制効果が認められたことより、腫瘍増殖過程にProteaseの関与が明らかとなり、癌性腹水の治療に一つの手がかりが示唆された。
- 1986-05-01
著者
関連論文
- 148.男化現象の新しい治療法 : 第30群 内分泌の臨床 III(147〜152)
- 254. コンピュータによる骨盤レントゲン写真の画像処理 : 第53群 診断・検査II
- 317.子宮内胎児発遅(IUGR)に対する治療法の臨床的,実験的検討 : 第60群 胎児・新生児 発育 その1
- 84.グットマン,マルチウス写真像に関する因子分析 : 第16群 ME I
- 81.On line端末を使用した周産期医療情報処理システムの開発 : 第16群 ME I
- 5.卵巣癌腹水中plasminogen activator の分離精製とその生化学的性状 : 第1群 卵巣 腫瘍 基礎
- 癌性腹水生成における線溶系の意義 : 線溶活性化因子による線溶冗進と腹水貯留
- 癌性腹水生成と線溶系の関与に関する基礎的研究
- 274.癌性腹水中plasminogen activator の産生機序 : 第73群血液I
- 子宮頚癌患者の放射線および免疫療法に対する末梢血単球機能に関する研究
- 172.Progesterone Receptorを持つ,ヒト分化型子宮体内膜腺癌細胞株(Ishikawa株)の樹立 : 第35群 子宮内膜癌 I(170〜175)
- 9.子宮頚癌の治療と単球機能の意義 : 第2群 悪性腫瘍の診断II(6〜10)
- 肺の嚢胞状腺腫様形成異常 (congenital cystic adenomatoid malformation) の出生前診断
- 237.自己免疫性甲状腺炎合併妊婦の免疫抑制機構 : 第44群 免疫 妊娠
- 320.児体重推定式の改善について : 第85群胎児・発育測定
- 99. 妊娠中毒症における活性型ならびに不活性型レニンの動態 : 第14群 妊娠・分娩・産褥 III
- 312 腎生検組織から見た妊娠中毒症の病態生理とその予後に関する研究
- 168. 晩期妊娠中毒症に対するヘパリン療法の有効性に関する検討 : 第36群 妊娠合併症・中毒症I
- 妊娠中毒症発症予知としての簡便ロールオーバーテスト (ROT)
- 139. 妊娠中毒症における尿中platelet-derived Growth Factor(PDGF)の意義 : 第23群 血液 I (133〜139)
- 非対称性子宮奇形と腎異常
- 一側の腎無形成,同側の傍頚部嚢腫を伴った盲角子宮 (先天異常) -- (腎異常)