超音波胎児計測による子宮内発育遅延の出生前診断とその胎児心拍数所見に関する研究
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概要
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light-for-dates児(LFD)群の出生前超音波胎児計測値,NST所見をappropriate-for-dates児(AFD)群の成績と比較検討した.超音波計測による胎児発育評価の指標として,児頭大横径(BPD),児大腿骨長(FFL),胎児腹部平均径(MAD),頭囲腹囲比(HC/AC),推定胎児体重(EFW)を用い,両群の各計測値を,各指標の標準曲線と比較して,LFD検出の精度を検討した.EFWは,BPD,FFL,胎児腹部前後径,横径を用いた重回帰式を作成し,算出した.LFD群を,IUGRに対する治療方法によつて,入院治療群,外来治療群,無治療群に分け,治療前後のEFWの正規偏差の変化を検討することにより,治療効果の判定を試みた.NSTは日母ME委員会の分類によつて1〜5型に分け,各型別の頻度を検討し,さらに自動胎児診断補助装置の解析結果を用いて,一過性頻脈,LTVの定量的検討を試みた. (1)分娩前7日以内計測の各指標のLFD検出の鋭敏度はMAD66.7%,EFW53.8%,HC/AC52.9%,BPD50.0%,FFL38.5%であり,精度(accuracy)は,EFW,MADがともに90.0%であつた.(2)LFD群の出産体重とEFWの間には,相関係数0.94の有意な相関がみられ,誤差は,平均147gであつた.(3)治療効果の判定では,入院治療群,外来治療群ともにEFWの正規偏差に有意な増加はみられず,無治療群で妊娠中毒症を合併した群に,有意な低下がみられた.(4)NSTの分類別頻度では,LFD群で3,4,5型の合計が全体の27.2%を占め,対照群に比して有意に2,3,4,5型が多く,1型が少なかつた.軽度変動一過性徐脈及びdip 0が計14.1%の高率にみられた.分娩時胎児仮死症例の11例中10例(91%)で,分娩前NSTに異常所見がみられた.(5)自動解析では,一過性頻脈20分間2回未満が38.4%の高率であつたが,LTVの振幅及び回数の減少は顕著でなかつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-11-01
著者
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