組織培養法による顆粒膜細胞,爽膜組織のsteroidogenesisの研究 : 特に多嚢胞性卵巣症候群について
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概要
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多嚢胞性卵巣のsteroidogenesisを解明するため, 卵胞を構成する主要細胞成分である穎粘膜細胞及び莢膜細胞を分離し, 培養, in vitroよりそれらの培養細胞の形態学的所見, steroidogenesisを正常卵巣と比較, 検討した.(1)穎粒膜細胞には単層培養系, 莢膜細胞には莢膜細胞層の組織片培養系を用い, 37℃, 95%air-5%CO_2下で18日間培養した.(2)培養穎粘膜細胞, 莢膜細胞は, 20%仔牛血清添加TC199で良好な発育を示し, それら培養細胞の発育形態ならびに超徴形態において, 多嚢胞性卵巣, 正常卵巣との間の差異は存在しなかつた.(3)培養穎粒膜細胞における主要生成ステロイドはprogesteroneであり, 多嚢胞性卵巣及び卵胞初期・中期の6mm以下の正常卵巣より採取した穎粒膜細胞のステロイド分泌能に差異は認められなかつた.(4)培養莢膜細胞における主要生成ステロイドはandrostenedione, testosteroneなどのandrogenであり, 多嚢胞性卵巣におけるandrogen分泌優位の輝向が認められた.(5)estrogen substrate, FSHの非存在下でのestradiol分泌は, 培養穎粒膜細胞において低値であつた.また多嚢胞性卵巣, 正常卵巣の間のestradiol分泌形式に差異が認められたいことより, aromatizing enzymeの障害は否定的であつた.以上の結果より, in vitroより見た多嚢胞性卵巣のsteroidogenesisは, 培養穎粒膜細胞を見る限り, 正常卵巣との間に有意の差は認められないが, 培養莢膜細胞においてはandrogen分泌亢進の傾向が見られ, LH異常高値がその一因であると推察される.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1981-07-01
著者
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