女性における血清精子凝集素の免疫学的分析
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概要
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不妊症に精子免疫が関与しているといわれ,これまで各種の血清精子凝集試験が報告されてきた.著者らはFriberg法を若干改良した微量血清精子凝集試験を記述し,現在臨床的検索を行っている.一般的に凝集試験は免疫学的にみるとnon-specffic reactionを含むことが多いとされる.そこで本微量血清精子凝集試験が,はたして免疫反応であるか否かに関して,凝集素の分析を試みた.実験材料は本試験で強陽性を示した不妊血清7検体であり,Sephadex G-200によるゲル濾過,affnity chromatogrphyおよびDE-32によるion exchamge chromatographyで血清蛋白を分離した.また単離IgGをpepsin処理LF(ab')_2を得た.得られた各々の分画について血清精子凝集試験を行って,以下の結果を得た.1.Sephadex G-200による分画で,凝集活性は4例において,IgMを含む分画とIgGを含む分画の両方に認められた.検索した残りの1例においてはIgGを含む分画にのみ認められた.2.対照とした2名の未婚婦人血清の分画において凝集活性を認めなかった.3.凝集活性の強さは抗体濃度にほぼ平行して認められた.4.抗体濃度に対する比活性はIgGを含む分画上りもIgMを含む分画の方がより大きい.5.活性のピークはβ-lipoproteinとは一致しなかった.6.affinity chromatographyおよびDE-32を用いたchromatographyにおいて,単離IgG分画に凝集活性を認めた.7.単離IgGのpepsin処理によつて得られたF(ab')_2分画に凝集活性を認めた.以上のことから,微量血清精子凝集試験における凝集素はほぼ抗体にまちがいないものと推定された.Fribergは精子凝集はIgM抗体であろうという報告をなしているが,著者の実験より,新しい事実として,IgG抗体の関与が強く示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-05-01
著者
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