富山県子宮癌集団検診の歩み
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概要
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富山県においては,昭和41年に成人病予防協会が発足し,これが主管して保健所において施設集検を行ったのを最初に,昭和43年からは車検診を始め今日に至る.今回,昭和45年から昭和52年のデータを分析し,富山県集団検診の実施状況と成績について統計的観察を行い,若干の知見を得たので報告する.子宮癌検診の受診率は4.5〜5.0%とまだ低い.要精検率は1.1〜0.5%の聞で比較的低いが,いまだ低下する傾向は見られない.また精検受診率は59〜82%程度であり追跡調査体制の確立が急務と考えられる.細胞診の陽性率は平均0.35%で,これは他県に比べ非常に低い.この理由はクラスIIIの率が低いことによる.クラスIIIの判定が全国水準と合致せず,異常に少ないことはfalse negatiVeの症例を増やすことになりかねず,細胞診の精度,ひいては集団検診自体の信頼性にかかる重大事である.しかし最近まで正規の有資格スグリーナーも.優秀な指導医もいたかった状況であり,今後細胞診技術者の養成に力を注がねばたらない.組織診については,異型上皮,上皮内癌,浸潤癌の割合は1:3.5:1と上皮内癌が全体の過半数を占め,実検が早期癌発見に威力を示している.しかし異型上皮は地機関に比べて非常に少たく,細胞診学者と病理学老のギャップを感ずる.富山県子宮癌集団検診は,現在精密な資料分析も可能次管理体制どたり,指導医も誕生し,スクリーナー等のスタッフも整い始めた.さらに日母医の協力体制も強まり,全国水準へと着実に歩を進めている.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1980-04-01
著者
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