コルポスコピーにおける系統的診断法 : 子宮頚部dysplasia、上皮内癌および微小浸潤癌について
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概要
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子宮頚部における軽度および中等度dysplasia(A群)、高度dysplasia(B群)、上皮内癌(C群)および微小浸潤癌(D群)のコルポスコピー所見について分析し、コルポスコピーにおける系統的診断法の設定を試みた.主として病巣の環状の広がり、白色上皮の出現の有無とその性状、病巣の隆起性、粗槌性、異常血管11、IIIおよびIV型の有無、腺口像の出現の有無とその性状などについて検討し、次のような成績が得られた。(1)白色上皮非出現例において、病巣の隆起または陥凹および粗槌性の有無によりそれぞれ微小浸潤癌および上皮内癌に分類することができた。(2)1度白色上皮(白色調の弱いもの)はdysplasiaのことが多く、隆起、粗糖性、II型血管および腺口周囲隆起の有無によりそれぞれ高度dysplasiaと軽度ないし中等度dysplasiaに分けることができた。(3)2度白色上皮(白色調の強いもの)のうち粗糖性、II型血管さらに腺口周囲の隆起を認めない例は中等度dysplasia以下の病変であった。また、IIIまたはIV型血管を伴うときは微小浸潤癌のことが多かつた。III-IV型血管陰性でも、病変の環状の広がりが1/2以上、白色上皮の茶褐色汚染像、腺口像の欠如または密集化のうち、3所見すべてを伴うときは微小浸潤癌、1または2所見を伴うときは上皮内癌のことが多く、これらのすべてを欠如するときは高度dysplasiaと推定することができた。(4)以上のコルポスコピーによる判定基準による組織推定診断に対する正診率は、中等度dysplasia以下の病変100%(80.7〜99.6%)、高度dysplasia94.1%(76.2〜98.0%)、上皮内癌88.0%(72.9〜94.9%)および微小浸潤癌95.2%(80.2〜98.4%)であった(カッコ内はp〈0.05での信頼限界)。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1986-02-01
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