多変量解析による子宮頚癌術後患者における再発因子に関する検討
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概要
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子宮頚癌術後患者211例の予後とこれとの関係が推測される因子(すなわち年齢, 妊娠回数, 分娩回数, 病悩期間, 主訴の数, 臨床進行期, 血沈値, 骨髄障害徴候の有無, 組織型, リンパ節転移の有無および維持化学療法施行期間)の関係並びに因子相互の関係について多変量解析によつて分析し, 次のような成績が得られた. 1) 予後悪化に関係の深い因子はリンパ節転移, 臨床進行期, 主訴の数, 腺癌および腺扁平上皮癌(以下一括して腺癌と略す)および妊娠回数であつた. 再発抑制に関わつているのではないかと考えられる因子は骨髄障害微候および大細胞癌であつた. また維持化学療法(以下化療と略す)は予後を著しく改善する因子と考えられた. 2) リンパ節転移は臨床進行期の進んだ例, 腺癌および血沈亢進例で著明であつた. 臨床進行期の進んだ例はリンパ節転移陽性例, 高齢者および病悩期間の長い例に多かつた. 血沈の亢進は頻回分娩例や角化癌の場合には認められないことが多かつた. また骨髄障害徴候陽性例は臨床進行期の進んだ例や大細胞癌の場合には少なく, 病悩期間の長い例に多かつた. 3) 骨盤内再発は早期再発例や維持化療施行例に多かつたのに対し, 骨盤外再発は血沈亢進例, 再発時期遅延例, 腺癌および維持化療非施行例に多かつた. 4) 再発の時期は病悩期間の短い例, リンパ節転移例および維持化療非施行例で早く, 病悩期間の長い例, リンパ節転移陰性例, 維持化療施行例および腺癌では遅延した. 5) 各症例の予後の判別と化療所要期間の算出は, 判別式Z=4.3817・X1+1.2366・X2-0.0916・X3+2.3257・X4-1.9606・X5+1.6477・X6-0.1967・X7-7.3047によつて可能となつた. また式Zによる誤判別率は, 無再発群で13.9%, 再発群で15.1%であつた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-03-01
著者
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