婦人科悪性腫瘍患者血清の免疫的抑制作用に関する分析
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概要
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婦人科悪性腫瘍患者血清の免疫抑制作用を知ることを目的とL,患者血清がin vitroでの健常リンパ球PHA反応におよぼす影響を検討し,以下の成績を得た.その幼若化抑制作用は次式によって表現した.抑制効果(suppressive effect,S.E.)%=100-_(リンパ球+PHA+患者血清)-(リンパ球+患者血清)/(リンパ球+PHA+正常血清)-(リンパ球十正常血清)×100 1.予備実験における培養リンパ球のviabilityと血清のS.E.との関係から判断し,血清添加濃度は25〜30%とした.2.子宮頚癌56例の患者血清のS.E.は平均24.25±21.89%であった.臨床進行期別のS.E.は0期8.77±12.70%,I期16.11±16.10%,II期19.24±17.93%,III十IV期45.55土20.92%であり,進行とともに増強し,とくにIII十IV期ではI期およびII期に対して有意に強いS.E.であった(p<0.01).3)子宮体癌6例の患者血清のS.E.は平均17.07±21.88%であった.4.良性卵巣腫瘍11例の患者血清のS.E.は平均-0.05±10.84%であり,悪性卵巣腫瘍16例のそれは平均26.40±28.30%であり,両者の差は有意であった(P<0.01).また悪性群では臨床進行期とともにS.E.は増強する傾向にあった.5.絨毛性疾患41例の患者血清のS.E.平均21.21±16.18%であった.奇胎,破胎,絨癌にわけると,それぞれ15.46±13.87%,17.34±10.61%,33.86±15.95%であり,絨癌では奇胎に対しても(P<0.01),奇胎に対しても(P<0.05)有意に強いS.E.であった.また抗癌剤投与はS.E.を増強する傾向が観察された.またS.E.は他の免疫的パラメーターとほぼ相関することも観察された.6)患者血清をSephadex G-200カラムにてゲル濾過した蛋白分画を添加培養すると,AおよびBの分画に比較的強いリンパ球幼若化抑制作用が認められた.以上の知見について考察を加えて報告した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1979-09-01
著者
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