各種生理的条件下におけるラット下垂体のLH-RHに対する反応性 : その機能形態学的研究
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概要
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種々の生理的条件下におけるラット下垂体のLH-RHに対する反応性を機能形態学的に検索する事によって下垂体のgonadotropin分泌機序の一端を解明する事を目的とした.即ち(1)未熟及び成熟各性周期の雌ラットについて性成熟過程のgonadotropin分泌能を追求した.(2)妊娠及び産褥(授乳群及び非授乳群)ラットについて内分泌環境の相違によるgonadotropin分泌機能の異同を検討した.gonadotropin分泌能は(1)ラット血中LH量をrat homologous LH RIAで測定し(2)下垂体中gonadotropin分泌細胞を酵素抗体法で同定して,その変化を光顕により比較検討すると共に(3)gonadotropin分泌様式を電顕で観察して,次の所見と結論を得た.即ち(1)下垂体は性成熟の始まる前に既にLH-RHに対する反応性を保有し10日令の方が21日令のものより反応性が高い.(2)未熟及び成熟期の反応性の高い場合には酵素抗体法陽性gonadotroph数が多くLH-RH投与後に減少を示した.反応性の低い妊娠,産褥の場合にはLH-RH投与前後の数の著明な差は認めなかつたが,LH-RH投与後染色性の減少が認められた.(3)電顕的にはLH-RH投与後15分にLH gonadotroph分泌顆粒のreverse pinocytosisによる放出像が認められた.(4)妊娠期と産褥授乳期ではhormone環境が全く異なるのに,LH-RHに対する反応性の低下が共に認められ,反応陽性gonadotrophの数と染色性は共に減少している.以上の事から各種条件の相違に拘らず,下垂体のLH-RHに対する反応性は下垂体の反応陽性gonadotroph数ないし染色濃度と密接な平行関係にある事を知つた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1975-10-01
著者
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