加令による子宮腟部上皮のコルポミクロスコープ像の変化並びに性ホルモン投与による影響について
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概要
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Estrogenの標的臓器として知られている子宮腟部上皮の卵巣機能衰退による変化を月経閉止婦人を対象としてコルポミクロスコープにより観察, estrogen 剤としての estriol 投与による影響を検索し, 次の知見を得た. 1. 子宮腟部上皮細胞には閉経と平行する卵巣機能の衰退により著明な形態学的変化が見られ, 単位面積当りの細胞核数は閉経を境に漸増し, これと平行してその密集性が増し, 核濃縮度は減少し, 細胞境界は不鮮明となる. これらの変化は閉経後7年でピークに達し, 以後はほゞ不変である. 2. 以上のコルポミクロスコープ診所見の変化は, 腟部上皮の萎縮による菲薄化並びに腟内容物の細胞所見とくに estrogen-index の低下と平行していることからコルポミクロスコープ診によって更年期以後の婦人の estrogen 活性を推定出来ることが示された. 3. Estriol 腟錠の連日投与により腟部上皮の多層化, 肥厚と平行してコルポミクロスコープ診的には, 単位面積当りの細胞核数は減少し, その密集性も減じ, 核濃縮度は増加し, 細胞境界は明瞭となるが, この変化は腟内容物の細胞診所見とくに estrogen 指数の上昇とも平行している. 以上の変化は estriol デポー剤投与の場合とほゞ同様であるが, 腟錠投与の場合にはデポー剤の如き血中 estriol 濃度の上昇が認められなかったことから, 腟錠の効果はその強力な局所作用によることが示唆された. 4. Estrogen の前駆物質として知られている副腎性 androgen の dehydroepiandrosterone-sulfate の経口投与では, コルポミクロスコープ診所見, 上皮の厚さおよび腟内容所見 (特に estrogen 指数) には変化がみられなかった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-07-01
著者
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