産婦人科領域における骨盤内動脈撮影に関する研究
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概要
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105例の患者に107回の骨盤内動脈撮影を行ない, 子宮筋腫症例を中心に産婦人科領域における骨盤内動脈撮影の診断的意義について検討した. 1) 子宮動脈の太さ, 形態および走行: 子宮の大きさが鵞卵大未満の時は子宮動脈の太さも形態もほとんど変らないが, それ以上に増大すると子宮動脈は太さを増し, らせん状態も減弱ないし消失する. 一般に子宮が大きくなるにつれて左右子宮動脈上行枝のなす角は鈍になるが, 側壁に筋腫のある場合は子宮が小さくても鈍になる. 2) 子宮動脈間隔: 子宮の大きさが増すと両側子宮動脈の間隔が広がることに着目し, 左右子宮動脈間最短距離/骨盤入口横径×100を子宮動脈間隔指数と名づけ, この数値と子宮重量との間の相関性の有無を検討した結果, 両者の間に有意の相関が得られた (r=0.69, P<0.01). 3) 子宮筋層内動脈及び腫瘍血管像: これらの所見について, 筋腫核の大きさのみによる変化を選択的動脈撮影と非選択的動脈撮影とについて比較検討した. 選択的方法では鳩卵大未満の筋腫核で子宮筋層内動脈の走行・形態異常を, 鳩卵大の筋腫核で腫瘍血管像を認めたのに対し, 非選択的方法では鶏卵大以上の筋腫核でのみ子宮筋層内動脈の走行・形態異常および腫瘍血管像を認めた. 4) 膀胱造影, 子宮卵管造影との併用: 骨盤内動脈撮影を膀胱造影, 子宮卵管造影と同時に行ない, 第2斜位にて撮影した. これを正面像と対比させることにより, 子宮およびその周囲病変を総合的に観察でき, その臨床的意義は大きい. 5) その他: hypervascularity の如き特異的な所見は絨毛性疾患, 妊娠関係では著明であるが, 子宮癌, 卵巣疾患では悪性度が増さねば著明にならず, 子宮腺筋症では筋層内動脈の変化のみが特異的である.
- 1974-07-01
著者
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