後期妊娠中毒症における血中並びに尿中エストリオールに関する研究
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概要
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後期妊娠中毒症における Estriol(Et) 生合成の意義と尿中Et排泄に及ぼす腎機能, 肝機能の影響を検索する目的で, 後期妊娠中毒症の血中Et, 尿中Etを測定するとともに腎機能検査, 肝機能検査をも同一患者について行ない, 以下のような結果を得た.妊娠中毒症においては, 尿中Etは軽症10ヵ月13例平均20.1±11.7mg/day, 重症10ヵ月10例平均12.1±7・9mg/day, 血中Etは軽症10ヵ月15例平均21.3±9.7μg/dl, 重症10ヶ月10例平均12.8±5.4μ9/dlであり, 同時期の正常妊娠(尿中欧6例平均25・o±7.8mg/和y, 血中Et11例平均27.5±10.6μ9g)に比較して, 低値を示した.特に重症例においては, その傾向は著しい.妊娠中毒症におけるP.S.P.試験成績と尿一血液Et比との間には, 深い関係はなかつた.即ち尿中Et排泄は腎機能に影響されるのではなく, 妊娠中毒症における尿中低Etは胎児一胎盤系におけるEt産生能の低下のためと思われる.血中Et値の方が尿中Et値上りも児生下時体重と強い相関関係を示した.多くは尿中Etは血中Etをよく反映したが, 症例によつては, 尿中Et値が低くとも, 血中Et値がかなり高いものも存在するので, 尿中Et値が低い場合には, これをもつて直ちに胎児危険とするよりは, さらに血中Et値をも検討して両者の成績から総合的に胎児予後を判定することが望ましい.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-12-01
著者
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