Isotope Dilution Method による異常妊娠尿中 Estrogen 測定
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概要
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妊娠尿中 estrogen 測定値は各種異常妊娠の診断に応用されている. 著者は先に isotope dilution method により正常妊娠尿中 estrogen を測定し報告した. しかし isotope dilution method による異常妊娠尿中 estrogen 測定の報告はない. 本報においては各種異常妊娠尿中 estrogen を測定し次の如き結論を得た. 診断的価値に関して: 1) 絨毛性腫瘍の尿中 estrogen の診断への応用は, 正常妊娠との鑑別には有効であるが, 胞状奇胎, 破壊性胞状奇胎, 悪性絨毛上皮腫らの鑑別には応用し難い. 絨毛性腫瘍の estrogen 産生は妊娠 estrogen 産生の特性を備えている様に思われる. 2) 無脳児・子宮内胎児死亡の際は尿中 estriolは低値をとり, その診断に有効である. 3) 重症妊娠中毒症の尿中 estriol 値は多少のバラツキはあるが低値の傾向を示し, 胎児胎盤機能判定の有力な方法となり得る. 4) 予定日超過の尿中 estrogen 測定は予定日超過そのものに対しての診断的価値はないが, その fetal distress に対しては低値を示し有意義である, 妊娠時 estrogen 産生と代謝に関して: 1) precursor 供給源の異常は代謝面の異常より estriol 産生に大きく影響する. また, 胎児の臓器は estriol 産生へ積極的な働きをなしていないように思われる. 2) estrone, estradiol は胎児副腎性の dehydroepiandrosterone を precursor とし, その産生の主なる場は胎盤であると思われる. 3) 妊娠時の estrogen 過剰環境における胎児の防衛作用の1つと考えられる estrone > estradiol の状態をつくり出すことに大きな影響力を持つものは, 胎盤ではなく胎児であるように思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1970-04-01
著者
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