産科婦人科領域における腫瘍患者に抗癌剤を投与した場合の末梢白血球染色体変異について
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概要
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近年, 放射線照射において末梢白血球数の減少を起さない線量, 例えば診断学上に用いられる様な極く微量の線量によっても白血球染色体には変異を生じているという報告が見られるので, 癌治療として放射線療法を行なう場合には従来の末梢血検査以外に細胞遺伝学的末梢血検査, 即ちその染色体についての研究も必要と考えられる. 同様な事は多くの抗癌剤投与に際しても必要であり, 本報ではDNA阻害剤であるCyclopho-sphamideとRNA阻害剤といわれているChromomycin A_3を投与した場合の末梢白血球染色体変異について, moorheadの方法を少し修正した方法を用いて検索し, 次ぎの如き結果を得た. 抗癌剤には末梢白血球の染色体に対して最大の影響を与える投与総量があり, それ以上投与するとかえってその影響は減少することがわかった. また放射線照射により生じた染色体異常は, 20年後もなお認められるのに対して, 抗癌剤の場合はむしろ投与中よりその影響は減少の傾向が認められた. これらは造血分化系の中で主として障害される細胞の種類の差および染色体に対する作用の差によって説明されるだろう. Cyclophosphamide治療では, 単独よりも併用投与の場合において末梢白血球の染色体に対して強い影響を示すことがわかった. RNA阻害剤といわれているChromomycin A_3は, DNA阻害剤である Cyclophosphamideと比較して末梢白血球の染色体に及ぼす影響が大であった.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-04-01
著者
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