分娩時における胎児中大脳動脈血流速度波形の検討
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概要
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超音波パルスドプラ血流速度計を用いて分娩経過中の子宮収縮が胎児中大脳動脈血流速度波形 (Middle Cerebral Artery-Resistance Index, MCA-RI) に及ぼす影響や, 胎児心拍数所見との関連に関し, 妊娠38週から40週の間での持続腰部硬膜外麻酔下に分娩誘発を行つた57例を対象として検討し, 以下の結果を得た. 1) MCA-RIは子宮収縮発作時には, 間歇期と比べて, 陣痛誘発開始時, (0.73±0.07 vs 0.78±0.07), 子宮口5〜7cm開大時, (0.76±0.06 vs 0.84±0.08), 分娩第II期, (0.73±0.06 vs 0.78±0.06)と, どの時期でも有意に高値を示した. 子宮口5〜7cm開大時で子宮収縮発作時のMCA-RIが最も高値で, この時期での児頭への圧迫が最も強いことが示唆された. 2) 直接法による子宮内圧とMCA-RIの検討では, どの時期も正の相関を認めたが, とくに子宮口5〜7cm開大時に最も強い相関を認めた. 3) MCA-RIと瞬時胎児心拍数との間には, 有意の負の相関を認めた. また分娩経過中, 拡張末期血流速度 (EFV) 途絶例の67%, 逆流例の100%に早発一過性徐脈 (ED) の出現をみた. 以上, 正常胎児であつても分娩時には子宮収縮に伴つて脳内血流の変動が生じ得ることを, またED出現時には高頻度にEFVの途絶・逆流パターンを認めることを明らかとした.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-01-01
著者
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