難治性進行子宮頚癌に対するCisplatin動注療法
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概要
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難治性の進行子宮頚癌に対する集学的治療の一つとして放射線治療前に Cisplatin動注化学療法 (以下動注療法と略) を施行した. 動注療法の腫瘍縮小効果を明らかにするとともに, 動注療法と放射線治療を併用した群と放射線治療単独群との治療成績を比較した. 対象は通常の放射線治療では治療困難と思われる頚部腫瘤の前後径がCTscanにて5cm以上の25症例とした. 放射線単独群は放射線治療例のなかから CTscanを再検討し, 前後径が5cm以上の23例を対照とした. 動注療法併用群の進行期はIIb期が1例, IIIb期が23例, Na期が1例である. 組織型は扁平上皮癌が24例, 腺扁平上皮癌が1例である. Seldinger法によりカテーテル先端を片側の子宮動脈に選択的に挿入し, ^<99m>Tc-macroaggregated albuminを用い局所に血流が分布することを確認した. Cisplatinの投与量は120mg/m^2とした. 動注3週間後にCTscanにて腫瘤の縮小率を求めて効果判定を行い, その後放射線治療を施行した. CTscanにて50%以上の縮小率を示した有効例 (PR) は判定可能例18例中7例 (38.8%)であつた. Kaplan-Meier法により生存率を比較すると2年2カ月経過した時点の動注併用群の生存率が74.9%, 放射線単独群の生存率が40.9%で, 両群間に有意差を認めた (p<0.05). 動注療法と放射線治療との併用療法が生存率を向上させることが示された. 動注療法により腎機能の悪化はみられず, 動注時に動脈血栓症1例, 刺入部からの出血1例, 血栓性静脈炎合併例の肺塞栓症1例が認められた. 以上の成績から, 動注療法は放射線治療と併用することにより, 頚部腫瘍の大きな難治性の進行子宮頚癌症例の局所制御に有効な方法であり, 生存率を向上させることが示された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-01-01
著者
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