妊娠に伴う尿中Kalliktreinの動態

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妊娠中毒症,特に高血圧の発症を予知したいと考え,妊娠・分娩・産褥期における尿中kallikrein(以下UKKと略す)の動態を,正常妊産褥婦500例,中毒症妊婦50例,中毒症以外の合併症妊婦50例について検討した.29例の妊産婦については,血漿kallikreinを同時に測定し,また,重症中毒症例については,尿中のprotease inhibitorsも同時に測定して検討した.得られた主な成績は次の如くである.1.随時尿と24時間尿とのUKK値には,正の相関関係が認められた.2.正常妊娠においては,UKK値は妊娠に伴い上昇し,妊娠初期から中期にかけて最高値を示し,以後漸減した.3.高血圧を主徴とする中毒症妊婦20例では,正常妊婦に比し,UKK値は有意に低値を示していた(p<0.001).4.経時的に測定した症例ではUKK低値に伴って高血圧が認められる傾向を示した.5.重症中毒症において,UKKとα_1-antitrypsinとは,負の相関関係を示した(r=-0.53).6.UKK及び血漿kallikreinの間には全く相関関係は認められなかった(r=0.15).7.妊娠中毒症例を除く正常血圧妊婦でUKKの極端な低値を示した例は60例(9.8%)に認められた.60例の中には,中毒症発症に対するhigh risk groupが,多数含まれていた他,切迫流早産妊婦も10例認められた.また,その後の経過で60例中11例(18%)に中毒症の発症が認められ,早産も60例中6例(10%)に認められた.以上より,UKKは妊娠中毒症の高血圧発症予知の parameterとして有用と考えられ,私たちは現在,妊娠20週と30週前後の妊婦及びhigh risk妊婦について,更に検討を続けている.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1985-04-01

妊娠に伴う尿中Kalliktreinの動態

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