Diazepamの新生児神経行動反応におよぼす影響
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概要
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正常産婦26例にdiazepam 10mgを静注し,分娩直後の母児血中濃度,Apgar score,臍帯血酸塩基平衡を測定するとともに,Scanlon et al.のearly neonatal neurobehavioral scale(ENNS)を用いてdiazepamの新生児神経行動反応におよぼす影響を検討した. 1)diazepamは極めて速やかに胎盤を通過して胎児血中に移行し,静注後1〜2分ですでに臍帯静脈(UV)血中には母体静脈(MV)血中を上回る濃度のdiazepamが証明された. 2)UV血中diazepam濃度は,静注後児娩出までの時間にかかわらず常にMV血中濃度より高かつた.また臍帯動脈(UA)血中濃度との比較では,静注後30分まではUV血中濃度が高いが,以後はほぼ同濃度であつた.全症例の平均値では,UV血中濃度(506±245ng/ml)がMV血中濃度(350±204ng/ml)およびUA血中濃度(394±142ng/ml)に対し有意な高値を示した. 3)Apgar score,臍帯血酸塩基平衡,新生児血清ビリルビン,生下時体重への回復日数などに関しては,対照群との間に有意差を認めなかつた. 4)ENNSでは,出生直後ほとんどの項目において多少とも神経行動反応の抑制が認められ,とくにresponse to pinprick,rooting response,sucking responseなどでは生後8時間まで持続した.24時間以後においては,diazepamの影響は全く認められなかつた. 新生児神経行動反応の検査成績が将来の児の精神的発育,人格形成と如何なる関連を有するかはなお必ずしも明らかではないが,今後母体に投与する薬剤とくに麻酔剤についてはこの方面からも詳細な検査ならびに予後の追跡が行われる必要があるであろう.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-12-01
著者
-
小倉 久男
東邦大学医学部付属大橋病院第2産婦人科
-
小倉 久男
東邦大医療センター大橋病院
-
小倉 久男
東邦大学
-
小島 誠介
東邦大学医学部付属大橋病院第二産婦人科
-
大川 昭二
大川病院
-
横山 元信
東邦大第二
-
小島 誠介
東邦大学第2産婦人科
-
大川 昭二
千葉・大川病院
-
横山 元信
東邦大学医学部第2産婦人科学教室
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