胸水をともなった非免疫性胎児水腫の胎児治療に関する研究

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胸水をともなう非免疫性胎児水腫に胎児治療を試み,その手技,効果について検討を加えた.対象:1983年1月から1984年4月までに経験した非免疫性胎児水腫例中,他に形態異常を認めず,母親,家族の承諾のえられた4例を対象とした.診断時,全例に全身浮腫,胸水がみられ,3例では腹水も認めた.方法:胎児治療の目的は,胎外生活が可能と考えられる胎児成熟をえるまで胎内環境を維持,改善し,より良好な状態で胎外生活へ移行させることとした.そのために,1)胎児血漿の膠質浸透圧を維持するために,胎児腹腔内ヘアルブミンを注入した.2)胸水が肺の発育に抑制的に作用すると考え,胸腔穿刺で胸水を除去した.結果:胎児腹腔内ヘアルブミン注入をおこなった4例中3例で勝帯血血清アルブミンはよく維持されていた.また,胎児の尿量がアルブミン注入後著明に増加する現象がみられた.胎児胸腔穿刺は一時的に胸水を完全に除去することができるが,胸水は術後1時間日より再び認められ,25時間後には術前と同程度に貯留した.本法による胎児諸臓器への重大な損傷はみられなかった.4例の出生後1分のApgar Scoreは3以下2例,4-6が2例であった.全例,呼吸不全のために生後16時間以内に死亡した.剖検では,肺重量が著明に軽いことが共通した所見であった.結論:1)胎児腹腔内へのアルブミン注入は,胎児血漿の膠質浸透圧を維持するための有効な手段となりうる.2)胎児胸腔穿刺は,一時的に胸水を除去することができるが,術後1時間日より胸水が認められ,その後急速に貯留するため,肺の発育に必要な空間を確保する意味では本手技のもつ意義は少ない.
1985-01-01

胸水をともなった非免疫性胎児水腫の胎児治療に関する研究

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