超音波断層法による排卵前卵胞の観察 : 腹腔鏡所見と対比して

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超音波検査による排卵時期の予知を目的に経時的に卵胞観察を行ない,腹腔鏡所見と対比検討した.66名のClomid HCG治療群を対象に超音波断層法にて2〜24時間毎に排卵前卵胞をモニターし,続いて腹腔鏡下に卵胞液を吸引し,卵胞液量,成熟卵子の有無を確認した.更に10名の正常月経周期を有する対照群に超音波断層法による経時的卵胞観察を行ない治療群と比較した.治療群での腹腔鏡前卵胞最大径はdominantfollicle28.3±1.5mm(mean±S.D.),secondfollicle23.3±6.1mmで超音波計測値と腹腔鏡下吸引卵胞液量は高い相関を示した(r=0.847;p<0.001).対照群における卵胞最大径は18.7±1.9mmであった.超音波上20〜30mmの最大径を示した卵胞に成熟卵子が多く確認された.卵胞発育曲線からHCG投与時に20mm程度のdominantfollicleがHCG投与後25mmに到るとそれから24時間位で排卵のおこる可能性が示唆され,最大径が25mmより大きくたると卵胞発育速度は減少し,発育曲線はプラトーとなる傾向もみられた.複数の卵胞が認められる刺激排卵周期では個々の卵胞の発育速度に差がみられ,HCG投与後急速な卵胞径の増大を示す卵胞があり,dominantfollicleが超音波上消失しても他の卵胞より卵子が採取された.子宮内受精予定8例の卵採取率は87.5%であった.超音波断層法は排卵前卵胞のモニタリングに不可欠かつ最も適した検査法であると思われる.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1984-03-01

超音波断層法による排卵前卵胞の観察 : 腹腔鏡所見と対比して

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