体外受精卵卵管内移植不成功例におけるHLA抗原系の解析と免疫療法

概要

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体外受精卵卵管内移植(in vitro fertilization-embryo tubal replacement: IVF-ETR)不成功例では, 機能的な着床障害の存在を考慮する必要がある. 今回我々はその点よりIVF-ETR不成功例41例を対象にHLA抗原系の解析を行うとともに, このうちの19例に対してIVF-ETR時に免疫療法を行い, その有効性を検討した. IVF-ETR不成功例では正常対照例に比べて共通抗原数が有意に多く, 共通抗原頻度も有意に高かつた(p<0.05). 免疫療法を併用したIVF-ETRにより19例中7例(36.8%)が妊娠した. 流産例は2例で妊娠継続率は71.4%であつた. HLA共通抗原数は妊娠群のほうが非妊娠群に比べて有意に少なかつた(p<0.05). また, 妊娠群ではBlocking Effectが免疫療法後に上昇し, 遮断抗体の産生が推測された. これに対して非妊娠群ではBlocking Effectは免疫療法によりむしろ低下した. 以上の結果より, IVF-ETR不成功の難治性不妊の中には免疫学的な着床障害が存在することが示唆された. また, このような症例に対して免疫療法が有効なこと, 及びその効果判定にはBlocking Effectの算定が有用なことが推測された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1992-10-01