子宮体癌の診断と治療におけるX線CTの役割
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概要
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contrast enhancement(以下CE)後のCT像によると,子宮体癌組織は子宮陰影内のlow density area(以下LDA)として描出される.したがってCTを用いることにより,画像上癌組織と正常子宮筋層を識別することが可能である.対象とした21例の子宮体癌症例について,体癌組織のCT上の特性を明らかにするとともに,(1)子宮陰影内におけるLDAの占拠面積,(2)正常子宮筋層の厚さの最小値,(3)正常子宮筋層の厚さの最大値最小値比の3つのパラメーターによって子宮体癌筋層内浸潤程度を評価し,手術所見,摘出標本所見との対比を行なって以下の成績を得た.1)CEによって体癌組織と正常子宮筋層のCT値の差は8.14±3.90HU(mean±1SD以下同様)より26.20±7.84HUへと拡大した.2)体癌組織のCE前値は34.86±8.42HUと正常子宮筋層の44.00±6.98HUより有意に低く(p<0.001),CEによる値の上昇も21.36±6.49HUと正常子宮筋層の41.62±7.04HUより有意に低値を示した(p<0.001).3)癌の子宮筋層内浸潤程度の評価に関し,LDAの占拠面積50%以下,正常子宮筋層の厚さの最小値0.5cm以上,正常子宮筋層の厚さの最大値最小値比0.5以上の3境界値のすべてを満たす以下群と,この条件を満たさない以上群の2群について体癌進行程度の比較を行なった.癌の筋層内浸潤が筋層の厚さの1/3を越えるものは以下群0%,以上群100%で,以上群で有意に高頻度であった(p<0.005).癌の子宮筋層内リンパ管侵襲は以下群11%,以上群70%で,以上群において有意に高頻度であった(p<O.05).癌の頚管侵入は以下群の11%,以上群の25%に認められたが両群間に有意の差はなかった.転移陽性例は以下群0%,以上群67%で,以上群において有意に高頻度であった(p<0.01).以上のことから,子宮体癌の診断治療にCTは必要欠くべからざる検査法のひとつであることを実証した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-05-01
著者
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