HMG-HCG治療による排卵誘発例の血中ホルモン動態の特異性に関する研究
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概要
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HMG-HCG投与たより4つの典型的な臨床経過を示しながら妊娠の成立を今た症例の,HMG投与中から妊娠初期に至る血中ホルモンの経時的変動バターンの詳細な分析を試みた.続発性第1度無月経症例に対しHMG 150〜225IU/day,7〜11日間に引き続きHCG 3,000〜10,O00IU/day,2〜4日間筋注投与し1〜2毎にHCG投与後3〜4週間にわたり採血し,plasma LH, FSH, prolactin(PRL),estrone(E_1), estradiol (E_2), progesterone (P), 17-hydroxyprogesterone (17-P), 20α-dihydroprogestron (20α-P), 5α-dihydroprogesterone (DHP), testosterone (T), androsteriedione (A), dehydroepiandrosterone (DHA) の経時的変化を各々radioimmunoassayにより検討した.PlasmaFSH,LHはそれぞれHMG,HCG投与中以外は低値を,またPRLレベルは卵巣腫大に伴い腹痛を自覚した1周期を除き明らかな変化はみられなかった.妊娠例ではLH(HCG)及びPRLはHCG投与開始14日目頃より上昇がみられた.HMG投与によりplasma E_1,E_2は上昇しHCG投与時には各々430〜1,900, 1,OO0〜3,900pg/mlの高値こ達し,その後2〜3日間は同一レベルを維持後漸増するパターンを示した.特に卵巣腫大を作つた2周期ではHCG投与開始日estrogensが高値であった.またT,Aレベルも同時期に他周期より高値を示した.DHAレベルはHMG投与中に比してHCG投与開始後は次第に低下し,妊娠成立周期のAはHCG投与後上昇傾角を認めた.DHPはHMG投与開始1〜3日後には投与前の2倍以上に上昇し,HCG投与時には2.5〜3.5ng/mlのレベルであつた.他のprogestinsはHMG投与中変化はみられず,HCG投与後に上昇し高値を示した.中でも双胎例ではHCG投与後estrogens,androgens,progestinsは2峰性の高値を示した.HMG-HCG投与中より血中ステロイドは順次上昇を開始し,卵胞成熟から黄体形成の変化を反映し,HCG投与後DHAの減少及びAの増加,さらに内因性HCG分泌開始時期にandrogens, progestins産生の賦活化がみられ卵巣でのステロイド産生の質的量的変化が強く示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1982-02-01
著者
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