SFD 妊娠の臨床的観察と妊娠経過図による SFD 胎児の早期発見の試みについて
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概要
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従来の small for dates(SFD)baby に関する報告では分娩した児の体重をもつて算出していた. 著者はSFD妊娠184例と正常妊娠100例について, 臨床的に出生頻度・在胎日数別頻度・季節別頻度・既往妊娠分娩・母体の年令・母体の身長・体重, 新生児の Apgar score・男女比・分娩様式・胎盤比・原因などについて比較検討し, さらに北大式妊娠経過図 Pregnogram を参考にして, 一部変更し作製した新大式 Pregnogram を用いて, SFD 妊娠65例と正常妊娠100例の子宮底長・腹囲・体重の妊娠中の増加を記入した. その増加曲線を正常型・急増型・横ばい型・正常より横ばい型・正常より急増型・横ばいより正常型の6型に分類し, さらに子宮底長については正常より上方・正常曲線上・正常より下方の3型について分類した. それらの妊娠中の発育曲線より SFD の早期発見の可能性について検討した. 1968年から1972年までの5年間の総分娩数は3965例あり, 在胎週数28週以上の SFD 新生児は184例 (4.64%) である. 初産・経産別でみると SFD は初産に高率にみられる. 母体の年令では40才以上の高令者にとくに多く SFD がみられる. 母体の体格では, 身長, 体重ともに小さい婦人に SFD が多い. 新生児の Apgar score についてみると7点以下に約19%も含まれている. 胎盤重量では正常は SFD に比して1%の危険率で有意に大きい. 児の体重分の胎盤重量で示す胎盤比では, SFD は正常に比して1%の危険率で有意に大きい. なお SFD 妊娠を臨床的に早期に発見するため, 妊娠経過図に記載した子宮底長増加・腹囲増加・体重増加の曲線についてそれぞれ6型に分類した. とくに子宮底増加曲線において, SFD 妊娠例では正常値をはるかに下まわつたまま増加するI'型が23.1%で, 増加が少なく横ばいを示すIII型とIV型が30.8%であるのに対し, 正常では正常より上方のI^°型と正常型のI型と合わせて93%である. これらにより SFD 妊娠の screening としてI'型とIII型とIV型に SFD の疑いをおくことに意義を認めた. さらにIV型では妊娠週数28週ころより39週ころから, とくに30週ころより子宮底長の増加が停滞することが認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-11-01
著者
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