超音波大横径測定によるSFDの早期発見と胎児胎盤機能との相関について
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概要
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Small for date (SFD) の児は出生後も予後は悪く, その原因究明と対策が重要視されて来ている. 著者はすでに, 妊娠経過図による子宮底長増加曲線と, 胎児胎盤機能, とくに dehydroepiandrosterone-sulfate (DHEA-S)負荷試験による, SFD妊娠の早期発見と, その実態につき報告した. それらをもととして, さらに超音波装置による胎児大横径を測定することにより, SFDの早期発見を試み, 前述した子宮底長測定, 母体尿中 estriol 値の変動, DHEA-S負荷試験などを同時に行い, これらの相関について考察し以下のことが判明した. 1. 妊婦100例中, 児の妊娠中および出産時の仮死率は, SFD83%, LFD50%, AFD36%とSFDに高い. 2. 超音波による大横径測定値と実測による大横径測定値との間には, 相関係数は0.46であって有意の相関があるといえる(危険率1%以下). 3. 超音波大横径と妊娠週数との間には相関係数0.78(危険率1%以下)胎児大横径BpD(cm)=0.19WK(妊娠週数)+1.46なる相関がえられた. 4. 妊娠経過に伴う超音波大横径連続測定では, とくに発育の遅れているSFD妊娠はAFD妊娠に比して, 妊娠経過にともなう増加率も劣っていた. 5. 超音波大横径の増加曲線と子宮底長増加曲線との pattern がよく相関していた. 6. 超音波大横径と生下時体重との間には, 相関係数0.62(危険率1%以下), 生下時体重Wt(g)=497.86 BpD-1289.91なる回帰直線かえられた. 7. 超音波大横径と生下時身長とは相関係数0.52(危険率1%以下)で, 有意の相関をえた. 8. 超音波大横径と胎盤重量との間には比較的高い相関がみられたが, 胎盤重量/生下時体重で示される胎盤比との間の相関は低い. 9. 妊娠経過に伴う母体尿中 estriol 値連続測定では, SFD妊娠は妊娠後期に至っても増加することなく, 中期と同様低値を示した. 10. 超音波大横径と, estriol 値, ならびにDHEA-S負荷試験後の estriol/17-KS, または estriol 増加量/17-KS 増加量との間には, 大横径が増加するとそれらの値も増加する傾向はあるが, 相関は必ずしも高くない. 11. 最終超音波大横径8cm以下のものには, 児の仮死率が高度にみられた. 以上によりSFDの早期発見には超音波大横径の連続測定が有意義であることが判明した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-05-01
著者
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