SFD妊娠の胎児胎盤機能に関する研究 とくに DHEA-S 負荷試験によるホルモンの変化について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
在胎期間に比して胎児の発育の悪い small for dates (SFD) baby の予後は不良である. 妊娠末期のこれらの妊婦の異常を早く発見することは, 治療においても予後に関しても重要なことである. 著者はすでに本誌に報告した pregnogram による子宮底長増加曲線の分類をもとにして, 妊娠初期, 中期, 後期の正常妊娠28例と異常妊娠37例に対し, DHEA-S 50mgを静注し, 投与前後の母体尿中 estriol, 17-ketosteroids (17-KS), 17-hydrocorticosteroids (17-OHCS) および 17-KS 分画の変動を観察した. 母体尿中 estriol 量は DHEA-S 投与に対して, 正常妊娠では初期には大きな変化はみられないが, 中期, 後期では投与後1日目に著明に増加した. 17-KS は初期, 中期, 後期とも, 投与後1日目に著明に増加した. 17-OHCS は妊娠各時期とも投与前後で大きな差はみられなかった. SFD妊娠は3例あり4回の DHEA-S 投与試験を行ったが, 3例ともDHEA-S 50mg投与に対し, 母体尿中 estriol 量は低値を示し, 投与後1日目にわずかに増加するものと, 全く増加のみられないもの, 投与後2日目や3日目にわずかに増加するものなどがみられた. 17-KS の変動は投与後1日目に著明に増加するものと, 全く反応を示さないものとがあった. 17-OHCS は大きな変化を示さなかった. 尿中 17-KS の gas chromatography による分析では, 正常妊娠, SFD妊娠とも投与後には androsterone, etiocholanolone, dehydroepiandrosterone が著明に増加した. DHEA-S 投与後著明に変化の生じた投与後1日目の 17-KS 分の estriol 値を正常妊娠と異常妊娠で比較すると, SFD妊娠, 無脳児妊娠は2以下の低値を示し, large for dates (LFD) 妊娠, 前置胎盤, 高年初産, 予定日超過, 中毒症では低値を示すものから, 正常範囲のものもみられた, とくに低値を示すものは予後の不良のものが多くみられた. 以上により DHEA-S 投与前後の尿中ステロイドの変化により胎児胎盤機能をより正確に把握出来ると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1974-03-01
著者
関連論文
- 78. Polycystic ovary (PCO)の下垂体,卵巣系の内分泌学的検討
- 婦人の生殖現象における血中プロラクチンの動態
- 65. SFD妊娠の早期発見とその胎児胎盤機能について
- Dehydroepiandrosterone-sulfate(DHA-S)の妊娠子宮収縮に及ぼす影響
- 92. Indomethacin 及び DHA-S の子宮収縮に及ぼす影響
- 超音波大横径測定によるSFDの早期発見と胎児胎盤機能との相関について
- SFD妊娠の胎児胎盤機能に関する研究 とくに DHEA-S 負荷試験によるホルモンの変化について
- SFD 妊娠の臨床的観察と妊娠経過図による SFD 胎児の早期発見の試みについて
- ヒト血中FSH, LH, Human prolactin (H.Pr.) の分泌調節機構に関する研究