モノクロナール抗体OC125及びSH-9の卵巣癌株細胞に対する細胞障害性について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【目的】従来, さまざまなモノクロナール抗体(以下Mo-Ab)が癌の補助的診断に応用されているが, それに対する抗原の生物学的機能についてはほとんど検討されていない. 一方, 抗体による抗腫瘍効果発現の機序には, 補体依存性細胞障害作用(以下CDC), 抗体依存性細胞介在性細胞障害作用(以下ADCC), 抗イディオタイプ抗体の産生あるいは免疫担当細胞群を介する抗腫瘍効果などが考えられているが, その細部については不明な点が多い. 今回, CA125分子上で異なる抗原決定基を認識するMo-Ab SH-9及びOC125を用い, 同一分子上で認識する部位の違いにより, 抗体の作用が異なるかどうかを検討する目的で, これらの抗体のもつ細胞障害性という面からヒト卵巣癌株細胞を対象にin vitro で検討した. 【方法】ヒト卵巣癌株細胞は, 漿液腺癌株細胞SHIN-3, 粘液腺癌株細胞MN-1, 線維肉腫株細胞KEN-3, Endodermal sinus tumor株細胞ECを用い, 抗体はCA125抗原に対するmouse Mo-Ab OC125とSHIN-3から分泌されるCA125抗原を免疫源として得られたmouse Mo-Ab SH-9を使用した. SH-9, 及びOC125, controlとしてmouse IgGの株細胞に対する抗体中和試験, 補体依存性及び抗体依存性細胞介在性の細胞障害性をMTT assay法で検討した. 【結果】検討した各項目で, OC125による細胞障害性が確認されたが, SH-9単独での細胞障害性はADCC以外では認められなかった. CA125は, 分子量4.9KDa以下の蛋白分子上に依存しこれに対し抗原決定基の異なるいくつかのMo-Abが樹立されているが, 今回, SH-9とOC125とを用いた比較試験より, OC125の抗原決定基は何らかの細胞障害性を表現する機能を有することが示唆され, SH-9がOC125とすべて同一の細胞障害性を示さなかったことから, CA125の存在する巨大分子上に分布する抗原決定基ごとにそれに寄与する生物学的機能が異なることが示唆されたと考える.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1996-02-01
著者
関連論文
- 腫瘍マーカー CA19-9 (産婦人科 検査マニュアル) -- (腫瘍)
- 睾丸性女性化症候群の性腺に併発したMixed germ cell tumorの1症例
- P2-175 子宮頸癌放射線療法における細胞学的早期治療効果判定の試み(Group65 子宮頸部悪性腫瘍6,一般演題,第62回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-204 再発子宮体癌における無治療期間は,二次化学療法の治療効果指標となりうるか?(Group68 子宮体部悪性腫瘍5,一般演題,第62回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P3-3 子宮頸部腺癌手術後の臨床的検討(Group76 子宮頸部悪性腫瘍7,一般演題,第61回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-19 子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)におけるCO_2レーザー蒸散術後の再発危険因子の検討(Group2 子宮頸部悪性腫瘍2,一般演題,第61回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P4-175 卵巣癌の再発後の予後因子に関する検討(Group113 卵巣腫瘍12,一般演題,第60回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P3-10 子宮頸部扁平上皮癌における活性化Stat3(Signal transducer and activator of transcription 3)の発現は予後不良因子である(Group68 子宮頸部悪性腫瘍11,一般演題,第60回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-160 癌化学療法における末梢神経障害の強度の評価(Group122 悪性腫瘍全般5,一般演題,第59回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-90 致死的経過をたどった子宮体部原発のLangerhans cell sarcomaの一例(Group113 子宮体部腫瘍12,一般演題,第59回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-38 子宮頸癌におけるcisplatin連日同時併用放射線療法の臨床的評価(Group105 子宮頸部腫瘍9,一般演題,第59回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-224 子宮内膜癌のMRIによる体部筋層浸潤および頸部浸潤の診断精度に関する検討(Group25 子宮体部腫瘍6,一般演題,第59回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-76 30歳未満で発症した子宮頸部浸潤癌に関する検討(Group6 子宮頸部腫瘍6,一般演題,第59回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-74 子宮頸部上皮内新生物(CIN)に対する子宮頸部円錐切除術後の追加治療を要するリスク因子の検討(Group5 子宮頸部腫瘍5,一般演題,第59回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-50 子宮体部悪性腫瘍の再発高危険群に対する術後doxorubicin/cisplatin併用化学療法(AP療法)のfeasibility study(Group 119 子宮体部腫瘍VIII,一般演題,講演要旨,第58回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-223 desmoplastic small round cell tumorの1例(Group 31 悪性腫瘍全般VII,一般演題,講演要旨,第58回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-37 子宮頸部上皮内新生物(CIN)に対するCO2レーザー蒸散術後再発例の検討(Group 5 子宮頸部腫瘍V,一般演題,講演要旨,第58回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P1-220 卵巣癌におけるNDRG1発現と臨床病理学的検討(Group26 卵巣腫瘍2,一般演題,第62回日本産科婦人科学会学術講演会)
- P2-36 子宮頸部上皮内腫瘍(CIN)に対する子宮頸部円錐切除後に浸潤癌と診断される術前予測因子の検討(Group 38 子宮頸部悪性腫瘍8,一般講演,第60回産科婦人科学会学術講演会)
- P-171 悪性卵巣腫瘍における新たに作製したMUC1-gene productに対する自己抗体の存在の有用性について
- 卵巣腫瘍良悪性鑑別のための腫瘍マーカー
- 子宮頸部神経内分泌腫瘍8例の臨床病理学的検討
- P2-511 膣閉鎖症,処女膜閉鎖症に対するGranjon手術(Group171 思春期2,一般演題,第59回日本産婦人科学会学術講演会)
- パクリタキセル(タキソール) Weekly 投与法に関連した爪甲剥離症の一例
- P-145 若年者に対する抗癌剤による性的機能障害に対するGnRHaのovarian protection効果について
- 81 婦人科癌化学療法時の顆粒球減少に対するG-CSFの臨床的有用性の検討
- 悪性 外陰がん手術 (産婦人科手術療法マニュアル) -- (婦人科手術)
- 28-20.Stuck twin19例の臨床経過と予後(第137群 妊娠・分娩・産褥期20)(一般演題)
- 11-32.切迫早産に対するウリナスタチン膣坐薬の有効性の検討(第52群 妊娠・分娩・産褥期4)(一般演題)
- 卵巣癌に対するEP療法の基礎的検討 : 低濃度Etoposide持続投与時におけるCDDP至適投与時期について
- 99 ヒト卵巣粘液性嚢胞腺腫瘍に於けるK-ras点突然変異及びProliferation Indexの検討
- 78 卵巣癌化学療法におけるTopoisomerase(Topo I/II)阻害剤のbiochemical modulatorとしての機能
- 68 MUC-1 gene product (PEM:polymorphic- epithelial mucin)に対する自己抗体の有無の検討
- 卵巣癌に対する低濃度etoposide持続投与とCDDP併用療法--in vitro再構成実験に基づく至適投与法の検討
- 子宮頸癌に対する化学療法の実際 (特集 子宮頸癌の取り扱いの実際)
- b.婦人科がんにおける分子標的療法(4.腫瘍)
- モノクロナール抗体OC125及びSH-9の卵巣癌株細胞に対する細胞障害性について