婦人科領域(特に電離放射線療法患者)における蛇毒止血酵素製剤の効果 (第1報)
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概要
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婦人科領域における出血の一つに子宮癌やその電離放射線療法時に起る急性出血があり, しばしば患者の生命に重大な危険をもたらす, 手術中の出血も充分に考慮されねばならないが, 照射中における出血は, その出血傾向の基盤に立つ関係上, その対処が特に考えられねばならない. 大きく出血傾向は血管因子, 凝血因子, 血小板因子の3要因があり, 放射線療法時の出血傾向はこの3者が全て関係している. 即ち, 血管壁の破壊の問題^<1)>, 血小板の減少ならびに無力症の問題, それに凝血能障害の問題では安定因子, 不安定因子, およびプロトロンビンの軽度異常傾向^<2)3)>やヘパリン様物質産生^<2)3)>の問題がある. それ故, この出血に迅速に且つ効果的に斗う必要がある. 今度, 我々は速効を示し, 持続的効果を持ち, 血栓や栓塞を起さず, 副作用の皆無とうたわれた蛇毒止血酵素製剤(レプチラーゼ)^<4)5)>を試用し若干の知見を得たので報告する. この止血剤はブラジル産の毒蛇Bothrope jararaca毒掖からKlobusitzkyにより精製・無毒化された蛇毒酵素でHemocoagulase^<4)5)>と命名され, 各バイヤル中には1 Klobusitzky単位(22℃において脱カルシウムを行った新鮮馬血5mlを10分間以内に凝固せしめるHemocoagulaseの量)に当るHemocoagulaseの冷凍乾燥粉末を含み, 別に溶解液として等張滅菌食塩水が添加されている. 作用機序は主としてトロンビンの如き作用を有し, プロトロンビン形成に影響を及ぼさずCaの非存在下においても血液を凝固せしめ, また, 照射による充血にも止血効果が認められている.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1965-01-01
著者
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