女性骨盤内悪性腫瘍治療による造血機能障害に関する研究 (第2報)
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概要
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婦人科悪性腫瘍治療による造血機能障害が照射部近接骨髄 (腸骨髄) と遠隔骨髄 (胸骨髄) で如何にあらわれ, 如何に変化するか, また末梢血との関連性は如何をみるべく臨床実験を試みた. 治療前の骨髄像ならびに末梢血液像については第1報で報告したが, 今回はこれらの数値が電離放射線療法 (X線, テレコバルト, コバルト60近接), 骨盤灌流化学療法により如何に変化し, また経時的に如何なる態度をとるかを検討した. 対象は婦人科悪性腫瘍患者44名で, 療法前後の骨髄像ならびに末梢血百分比を比較検討し, 次の結論を得た. (1) 療法前すでに低形成にある腸骨髄, 胸骨髄は放射線, 骨盤潅流化学療法により腸骨では一層低形成となり, 胸骨でもかなりの低形成を示す. (2) 化学療法は放射線とは本質的に異なる態度を骨髄, 末梢血におこさせる. (3) 腸骨における該療法によるGE比の変動の主因は赤芽球系によるものと思われる. (4) 形質細胞, 細網細胞の著明な増加はない. (5) 好酸球がX線照射, テレコバルト60照射で末梢血, 骨髄とも増加し, よくその変動をともにしている. (6) 線量の上昇につれ腸骨髄の障害は強く, 2〜5年後でも回復は目立たない. 胸骨髄では照射後早期に一時造血促進を示し, これが経年的に相対的機能低下の状態に変化する.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1968-06-01
著者
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