女性骨盤内悪性腫瘍治療による造血機能障害に関する研究(第1報)
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概要
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婦人科悪性腫瘍の治療に電離放射線療法,化学療法が行なわれるが,かゝる療法施行時の重大な合併症の1つとして造血機能障害がある. 著者はかゝる造血機能障害がいかにあらわれ,いかなる変化をとるか,また照射部近接骨髄(腸骨髄)と遠隔部にある骨髄(胸骨髄)ではいかなる変化をみるか,また末梢血との関連性はどうかをみるべく臨床実験を試みており,今回は治療前の骨髄像(腸骨髄・胸骨髄),末梢血液像,ならびに同一症例にX線分割照射2クール以上を行なった場合の骨髄像経時的変化につき検討した. 対象は当科に入院せる子宮頚癌,卵巣癌,悪性の絨毛性疾患患者計60名であり,末梢血百分比をみたものはこの60名を含む悪性腫瘍患者計96名である. 骨髄像では腸骨髄,胸骨髄とも有核細胞数,巨核球数の減少,淋巴球増加とGE比増加がみられ,かゝる傾向は腸骨に強い.また赤芽球減形成が年令につれ強くなり,有核細胞数,巨核球数も年令につれ減少し,ことに胸骨髄にその傾向が強い.またGE比は年令につれその異常度が強くなるようである. 末梢血百分比ではほぼ生理的動揺範囲内にあつた. X線分割照射では照射により腸骨髄,胸骨髄双方に有核細胞数・巨核球数の減少,好酸球の増加,淋巴球の増加傾向がみられ,休養で回復傾向をみるが,回を重ねるにつれ,腸骨髄の巨核球数の回復はみられなくなつた.GE比は照射により腸骨で極度な異常値を示した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1967-11-01
著者
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