人およびラット各臓器組織LDHアイソザイムパターンに対するホルモンの影響追究による胎生環境に関する研究
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概要
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胎児をとりまく諸臓器組織LDHアイソザイムパターンの変動を追求することにより, 胎生環境の持つ意義の一端を解明しようとして, ラット各臓器組織LDHアイソザイムパターンに対するホルモンの影響を検べ, 併せて副腎皮質ステロイド長期連用婦人の胎児2症例について検討した. A. ラット各臓器組織LDHアイソザイムパターンに対するホルモンの影響ラットに大量の Estradiol あるいは Progesterone を負荷した場合, 妊, 非妊をとわず子宮, 卵巣ではLDHVの活性比率が減少する傾向を示し, 心, 腎ではほとんど変化を示さず, その他の臓器では変化の方向が必ずしも一定しなかつたが, 概してLDHVの活性比率に減少傾向の認められるものが多かつた. 一方負荷群胎仔臓器では無負荷群に比して著るしいパターンの変動を示したものはなかつた. また妊ラットに大量の副腎皮質ホルモンを負荷した場合, 肝ではLDHIV活性比率が減少してLDHVの活性比率が増加し, 子宮, 卵巣ではLDHVの活性比率が減少する傾向を示したが, 母獣のその他の臓器および胎仔諸臓器のパターンには変動を認めなかつた. B. 胎児娩出までそれぞれ約9年間と約4年間の長期にわたり, 慢性疾患のため副腎皮質ホルモンを服用し続けた2婦人の, 妊娠7カ月と妊娠8カ月の胎児について検討した. この2胎児の体重と諸臓器重量は対照にくらべて著しく劣り, 両胎児の発育は子宮内において強く障害されたものと推察されたが, 臓器重量に認められる強い発育不全像にもかかわらず, これらの臓器では機能分化の一指標と目されるLDHアイソザイムパターンに異常を認めなかつた. 以上の成績から胎児が, 胎児一胎盤系をも含めた精妙な胎生環境に被護されていることを意味していると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-01-01
著者
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